御託を並べる

ソースを出せ、話はそれからだ

東京グローブ座におけるジャニーズ出演舞台をリストアップしてみた

丸ちゃんの舞台・泥棒役者の日程が発表されました。

私がファンになって2015年以来エイトは毎年誰かがグローブ座で舞台をやってる*1んだけど、他だとNEWSやKAT-TUNとかいわゆる元YOU&Jのメンバーがわりとやってるイメージがあって、今まではどうだったんだろうと思ってだんだん遡っていくうちに懐かしい名前も出てきて止まらなくなったので、せっかくならばと備忘録として書き留めておきます。



ジャニーズ事務所東京グローブ座を買収した2002年10月以降のジャニーズ出演舞台の演目とジャニーズ所属の出演者(主演・助演問わず)一覧です。
★はフジテレビ主催、◎は東京グローブ座主催の作品。

2003年
 1/13- 1/27 ★シェルブールの雨傘 坂本昌行
 2/ 2- 2/17 ★トイヤー 井ノ原快彦
 2/14- 3/11 ★フォーティンブラス! 長野博
 3/16- 4/ 6 ★夜叉ヶ池 佐藤アツヒロ/岡本健一
 4/11- 4/27 ★センゴクプー 大野智
 5/29- 6/ 8 ★青木さん家の奥さん MA(屋良/米花/町田/秋山)
 6/10- 7/ 2 ★BOEING BOEING 赤坂晃/佐藤アツヒロ
~改修工事~

2004年
 1/15- 2/ 7 ★ロミオとジュリエット 東山紀之
 2/13- 2/26 ★エドガーさんは行方不明 佐藤アツヒロ/生田斗真
 4/ 4- 4/25 ★卒業 三宅健
 5/ 2- 5/23 ★TRUE WEST 松岡昌宏/大野智
 5/30- 6/12 ★真夏の夜の夢 MA
 6/18- 7/ 6 ★DEATHTRAP 長野博
 7/16- 8/ 1 ★Stand by Me Ya-Ya-yah/秋山純
 9/10- 9/18 ★スカパン 岡本健一/屋良朝幸/町田慎吾
 9/23- 9/26 ★ザ☆オーディション 国分太一
10/ 6-10/26 ★CABARET 錦織一清/岡本健一
11/ 7-11/28 ★ハンブルボーイ 井ノ原快彦
12/11-12/21 ★TAPE 佐藤アツヒロ/赤坂晃

2005年
 4/ 3- 4/24 ★理由なき反抗 二宮和也
 5/ 1- 5/21 ★エデンの東 松本潤
 9/ 6- 9/27 ★燕のいる駅 相葉雅紀
10/ 3-10/23 ★バクマツバンプー 大野智
12/ 3-12/ 4  The Globe Project -volume 1- 岡本健一

2006年
 6/19- 7/ 9 ★第32進海丸 三宅健
10/ 6-10/23 ★ジェイルブレイカーズ 松岡昌宏
11/18-11/19  The Globe Project -volume 2- 佐藤アツヒロ

2007年
 2/19- 3/11 ★殺人者 三宅健
 6/ 1- 6/19 ◎NO MAN'S LAND 坂本昌行 (※CATプロデュースと共同主催)
 7/27- 7/31 ★手越祐也のワンマンRADIO SHOW「テゴラジ」 手越祐也
 8/12- 8/19 ◎携帯芝居「イノなき」 井ノ原快彦
 8/23- 8/27 ★増田貴久の一人楽屋de大作戦「まちマス」 増田貴久
10/ 5-10/14 ★ヴェローナの二紳士 生田斗真
10/22-11/11 ★忘れられない人 相葉雅紀
12/ 1-12/ 2  The Globe Project -volume 3- 町田慎吾/米花剛史

2008年
 1/19- 2/ 3 ◎未定壱 渋谷すばる/村上信五
 2/10- 2/20 ★818 安田章大
 3/24- 4/13 ★ロス:タイム:ライフ 小山慶一郎
 5/ 2- 5/11 ★フルハウス 山下翔央/風間俊介/米花剛史/町田慎吾
 5/19- 6/ 8 ★第17捕虜収容所 三宅健
 7/14- 7/30 ★こんなんやってみました。 加藤成亮
 8/10- 8/24 ◎中丸君の楽しい時間 中丸雄一
11/ 2-11/23  昭和島ウォーカー 井ノ原快彦
11/28-12/15 ★フライパンと拳銃 長野博

2009年
 1/10- 1/25 ◎If or… 村上信五
 1/30- 2/24 ◎コール 小山慶一郎
 3/ 4- 3/29 ◎ロミオとジュリエット 上田竜也/長谷川純/山下翔央
 5/17- 6/ 3 ◎セミナー 加藤成亮
 7/18- 8/11 ◎見知らぬ乗客 二宮和也
11/ 4-11/23 ◎雨の日の森の中 増田貴久

2010年
 2/16- 3/ 3 ◎If or…Ⅱ 村上信五
 3/ 8- 3/22 ◎ULTRA PURE! 三宅健
 5/ 2- 5/24 ◎君と見る千の夢 相葉雅紀
 7/ 3- 7/19 ◎アリバイのない天使 坂本昌行/風間俊介
11/13-12/ 5 ◎0号室の客~帰ってきた男~ 小山慶一郎横山裕 ※映像出演)

2011年
 1/16- 2/ 6 ◎ギルバート・グレイプ 丸山隆平
 2/15- 3/ 2 ◎If or…Ⅲ 村上信五
 4/ 2- 4/19 ◎芝浦ブラウザー 井ノ原快彦 (※パルコと共同主催)
 6/ 3- 6/26 ◎6月のビターオレンジ 加藤成亮/城島茂
 7/ 9- 8/ 1 ◎トラストいかねぇ 安田章大
10/28-11/13 ◎ラブリーベイベー 三宅健

2012年
 2/17- 3/ 4 ◎If or…Ⅳ 村上信五
 4/27- 5/21 ◎BOB 丸山隆平
 6/ 8- 7/ 1 ◎灰色のカナリア 増田貴久/松岡昌宏
11/ 5-11/25 ◎ハロー, グッドバイ 小山慶一郎

2013年
 1/18- 2/ 5 ◎NO WORDS, NO TIME~空に落ちた涙~ 東山紀之/田口淳之介
 2/22- 3/10 ◎If or…Ⅴ 村上信五
 5/ 3- 5/26 ◎ストレンジ・フルーツ 増田貴久
 6/14- 6/30 ◎シルバースプーンに映る月 坂本昌行
10/ 1-10/10  オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『Forever Plaid』 長野博
10/25-11/10 ◎Some Girl(s) 三宅健
11/16-12/10 ◎フランケンシュタイン 東山紀之/坂本昌行

2014年
 3/21- 4/ 6 ◎If or…Ⅵ 村上信五
 4/25- 5/11 ◎中の人 加藤シゲアキ
 5/30- 6/22 ◎フォレスト・ガンプ 田口淳之介
 9/26-10/19 ◎フレンド-今夜此処での一と殷盛り- 増田貴久

2015年
 2/20- 3/ 8 ◎If or…Ⅶ 村上信五
 4/25- 5/10 ◎カラフト伯父さん 伊野尾慧
 5/23- 6/14 ◎ブルームーン 横山裕
 9/12- 9/29 ◎グレート・ネイチャー 小山慶一郎
11/13-12/ 6 ◎MORSE-モールス- 小瀧望

2016年
 2/21- 3/13 ◎If or…Ⅷ 村上信五
 4/22- 5/ 8 ◎歌喜劇 市場三郎~温泉宿の恋 濱田崇裕
 5/18- 5/30  オフ・ブロードウェイ・ミュージカル『Forever Plaid』 長野博
 6/26- 7/24 ◎マクベス 丸山隆平

2017年
 1/21- 2/14 ◎TWENTIETH TRIANGLE TOUR戸惑いの惑星 坂本昌行/長野博/井ノ原快彦
 3/ 2- 3/20 ◎If or…Ⅸ 村上信五
 4/30- 5/21 ◎新世界ロマンスオーケストラ 上田竜也
 5/27- 6/18 ◎蜘蛛女のキス 大倉忠義 (※CATプロデュースと共同主催)
 6/27- 7/23 ◎あんちゃん 北山宏光
 9/30-10/22 ◎グリーンマイル 加藤シゲアキ
10/27-11/18 ◎中丸君の楽しい時間2 中丸雄一

2018年(2月6日現在の発表)
 2/18- 2/25 ◎If or…Ⅹ 村上信五
 4/15- 5/11 ◎泥棒役者 丸山隆平/東山紀之

グローブ座が他の劇場の公演を主催していることもあるので載せます。舞台作品におけるグローブ座表記=ジャニーズ事務所と同義と考えてもよさそうです。

2009年
 2/23- 3/10 グリーンフィンガーズ 相葉雅紀(青山劇場 他)
 3/16- 3/31 カゴツルベ 安田章大/風間俊介(青山劇場 他)
10/ 9-10/17 オール・シュック・アップ 坂本昌行(青山劇場 他)

2010年
10/ 2-10/17 ブロードウェイ・ミュージカル『Pal Joey』 坂本昌行(青山劇場 他)

2011年
 3/ 2- 3/13 TRAVELING 佐藤アツヒロ(赤坂RED/THEATER)

2012年
 3/10- 3/24 ブロードウェイ・ミュージカル『MY ONE AND ONLY』 坂本昌行(青山劇場 他)

2013年
10/12-11/30 いのうえシェイクスピア鉈切り丸 森田剛(※パルコと共同主催)(東急シアターオーブ 他)

2014年
 4/ 4- 4/29 夜中に犬に起こった奇妙な事件 森田剛世田谷パブリックシアター 他)
 9/28-10/19 ブロードウェイ・ミュージカル『ON THE TOWN』 坂本昌行/長野博/井ノ原快彦(青山劇場 他)

2016年
<2/ 5- 2/ 7 ミュージカルコンサート『ONE MAN STANDING』 坂本昌行>(Bunkamuraオーチャードホール
 8/ 5-10/31 SHINKANSEN☆RX『Vamp Bamboo Burn』 生田斗真/神山智洋 (※ヴィレッヂと共同主催)(赤坂ACTシアター 他)


●まとめていて気付いた点など
・2004年までは完全にジャニーズの劇場という感じで、外部公演は少なくてジュニアの舞台だったりジャニーズ製作の映画上映もやってたりするのが、2005年から急に外部の公演が増えた。
・2008年まではフジテレビ主催がほとんど。これはフジテレビでやっていた演技者*2の影響があるのではないかと推測されます。いやむしろ劇場があるから演技者をやっていたのか?このあたり詳しくないのでわかりません。
 2005-2007年にやってるThe Globe Projectはジャニーズ所属タレントと早稲田大学の学生のコラボという意欲的な企画で、演劇界を盛り上げようという意図も感じます。
・V6率高い。
・中でも驚異の坂本昌行率。坂本くんはミュージカルいっぱいやってるってイメージがあったけど本当にいっぱいやっている。
・三宅くんも2004-2013年の10年間で7本やっている。
・2009年以降ほぼ同じ時期を埋めるIf or …の安定感。

 

運営方針は2005年から変わったのかなという印象です。特に近年は外部のイベントが多く、それもお芝居よりお笑いライブなんかが増えてます。いろいろあるんでしょう。
ジャニーズタレントの出演作も純粋なお芝居は年に3~5本くらいなので、そう考えるとなかなかハードルが高いのかもしれません。 

 グローブ座以外でも舞台に出ているジャニーズはたくさんいるので、あくまでグローブ座としての傾向の話でした。

*1:毎年恒例のイフオアは別カウント

*2:ジャニーズタレント×劇団による舞台作品のようなテレビドラマを放送する深夜番組

BG~身辺警護人~がおもしろいという話

ドラマを見てて盛り上がってもその場だけであんまり感想とか書きたくならないんだけど、なんだか感じるところがあったので放置ブログのリハビリがてらに。

 

ご存じの通り、高視聴率男・木村拓哉の最新ドラマです。木村さんやファンにとっては好きな呼び名ではないかもしれないけれど、私にとって木村拓哉は今も昔も"キムタク"なのであえてキムタクと呼ばせていただきます。*1

私キムタクのドラマって実はあまり見てないんです。それこそドラマ全盛期の、視聴率30%, 40%取っていた時代から。HEROにしても毎週毎週(数字が)ニュースになっとるなあ、という認識で、ちゃんと見たのは再放送でしたから。再放送で見たら面白かったんで、放送当時視聴率ばかりが話題になっていたことを後々ながら残念に思いましたけど。

BGも最初は見るつもりはなかったのですが、放送後に評判が良さげだったのと、キャスト陣にも惹かれたため後追いで見ました。今は最新話が公式で無料でネット配信されているからこういうときに便利ですね。

 

あらすじやキャラクターに関しては公式をご参照のほど。

BG~身辺警護人~|テレビ朝

大雑把に書くと、かつてイケイケの敏腕ボディガードだったキムタクが何らかの挫折をして民間警備会社で警備員として働いていたところ、会社が新しく身辺警護課を立ち上げることになり、こちらもまた過去に何か抱えてそうな元警察の上川隆也係長、元自衛官でキムタクに反発する斎藤工、スタイルおばけの若手コンビ菜々緒間宮祥太朗らとチームを組んで身辺警護に当たる。そこに警視庁の敏腕SP江口洋介が居合わせて、拳銃も持たない民間会社のBGに何ができるんだ、と身も蓋もないことを言う。衰えもある、武器もない、そんな完璧でないBGキムタクが依頼人の希望に寄り添いながら守り抜くという話です。(役者名でこれまた怒られそうですがそのほうが話が入ってきやすいので許してください)

 

何がいいかというと、これが初回の評判で私が気になった部分でもあるんですけど、主人公のキムタクが若干くたびれているところ。斎藤工からはオッサン扱いだし、一人息子からは邪険にされるし(それでも充分なついてそうですが)、警察の敏腕SPに見下されながら、怪我した体を引きずって任務にあたるところでしょう。

こういう役柄って往年のハリウッドスターが中年~壮年期にさしかかった頃にやりそうな設定で、ありがちといえばありがちなんだけど、そこがまたいいなあと思うわけです。ハリウッドスター同様、若い頃にあらゆることをやって圧倒的な結果を出し続けた男だから*2活きる設定というか。そうなると日本でいえばキムタクしかいない。

そういうくたびれた設定ながら、アクションシーンではちゃんとキレがあるのもさすが。

 

毎回江口洋介となぜか任務が重なってたり、依頼人が勝手な行動を取ることで主人公に活躍の場が巡ってくるというご都合主義な展開はあるものの、話もよくできていて、脚本は安定の井上由美子氏。

話の規模はさすがに初回のが大きくて、舞台がスタジアムということで画も派手だし、下見に行って目測でターゲットからの位置や逃走ルートを計算している演出もワクワクさせてくれましたが、話としては2話の裁判官夫妻の話のほうが好きで、最初さんざん大塚寧々にイライラさせられたにも関わらず最後はジーンときてしまいました。

 

主人公の対比としてチーム内で考え方が違う斎藤工、民間会社と公的機関である警察の江口洋介という二軸があるのも深みが出ています。

チームの中で対立するキーマン役の斎藤工が1話、2話と出番が少なかったのは話の流れというより売れっ子ゆえのスケジュールの都合のような気もしますが、3話からは戻ってくることになったのでバチバチ火花を散らしてくれそう。

また江口洋介*3はてっきり昔のキムタクを知る良き先輩みたいな役どころかと思ってたら初対面から若干嫌な奴(そんな安直な役柄ではないでしょうが)だったのにもびっくりだったんですが、とはいえそこは江口洋介なのでこのままというわけはないでしょうからこれからどう関係、考え方が変化していくかも注目したいです。

 

また犯人役が1話は勝地涼、2話が石黒英雄ということで3話以降誰が出てくるのか楽しみです。このラインだと間宮祥太朗が出てもおかしくないんだけど残念ながら(?)レギュラー出演しているので、誰が来るかな。アクションができる若手~中堅俳優で予想も楽しそう。

そして今後出てくるであろう主人公の元妻が誰なのかも考えちゃうよね。存在感のあるアラフォー女優と仮定して、これまで木村ドラマでヒロインをやったことがある女優か、それとも初共演の女優か。脚本家つながりか、プロデューサーつながりか。などなど。

とか言って出てこないかもしれないけど。

 

とりあえず、 キムタクの枯れた魅力といくつかの軸を持ったストーリー、キャスティングも楽しみなBG~身辺警護人~が、リアルタイムで見る初めてのキムタクのドラマになりそうだという話でした。

*1:決して悪意はないので、世間に浸透した時代のアイコンとしての"キムタク"という存在として受け止めてください。

*2:キムタクのドラマはキャストやスタッフを揃えて予算がつくからずるい、高視聴率で当たり前だなんて言う人もいますが、その条件があれば必ず数字がついてくるとは限らないわけで、その中で何かと叩かれながらもずっと結果を出してきたからこそそういう条件でいまだに主演ができているわけですよね。だって他にそんな人いないもの。

*3:江口さんがトメかと思っていたらクレジットは二番手で、トメは上川さんでした。どっちが上ってわけじゃないですけど。へえ。

望みどおりの虚構の世界 妄想歌謡劇「上を下へのジレッタ」備忘録

ありがたいことに東京と大阪、それぞれで1回ずつ観劇できました。2回でしたが席もタイミング的にも理想的な観劇ができてとても満足でした。

全部纏めようとする余計収拾がつかなくなってしまいそうなので、印象に残ったことをいくつか。

 

①スピード感

まずは何よりこれ。とにかく場面転換が多い!

舞台って、どちらかというといかに場面転換を少なくシチュエーションを変化させるか、ってところあるじゃないですか。同じセットで出演者が入れ代わり立ち代わりして違うシーンとして成立させるような。

ところがジレッタはそんなこと気にしない。バンバン転換させる。背景・セットがぐるぐる変わる。裏方さん大変!

漫画のコマが変わるように、という感想を見かけてなるほどと思いました。で、パンフレットを読むと倉持さんは手塚治虫先生の原作の表現が演劇的*1だと言っているのがおもしろい。

舞台を見る前に原作を読んだとき、ストーリーはどこを省略するのかな、なんて思ってたんですね。まさか全部入れてくるとは。さすが凡人とは発想が違う。

見始めたときあまりにずんずん話が進んでいくのでなぜか「もったいない!」という感想が出てきたし、原作読んでない人わかるのかしら?と心配になりました。

しかもほとんどのシーンでアンサンブルや何役もやるキャストの方が出揃って、毎回違う衣装で歌い踊るんですよ。裏でセットやら衣装やらどれだけてんやわんやだったんだろう。それでいてその一つ一つのシーンのクオリティの高さ。目がいくつあっても足りない。なんて贅沢なものを見せてもらってるんだろうと思いました。

 

②芸能界への視線

ジャニーズのタレントを主役にしておいて、ナベプロのタレントをヒロインにしておいて、初っ端から「列を乱すな 事務所の序列を」「口パク口パク口パクパク」ですよ。「そこらへんにいるような娘でもできる歌とダンスをされてもねえ(うろ覚え)」ですよ。ぎゃー痛い。

原作では門前が竹中プロを首になる理由は過激な演出のせいで、大手事務所のタレントの扱い云々ではないんですよね。それをあえてここに持ってきて大手事務所のタレントである横山さんに言わせる。(まさか横山さんを主役にしたのには何か裏の意味が…?とはじめ勘繰りたくなったのも仕方ない)

チエやジミーのような「Fake Star」の哀愁もあり、「アイドルの逆襲」による芸能界への痛烈な皮肉あり。これ、ジュリーさんや渡辺ミキ社長が見る機会はないんだろうか。見たらどう思うんだろう。

でもこれが、ただの悪意だとは思わないんですね。こういう面もありつつ、そういう虚構の世界に魅力を感じて離れられないのが門前だし、転落しても這い上がるのが門前だし、同時に繰り返し門前の魅力を語る倉持さんの視点でもあるんだと私は思いました。

 

③虚構の共犯者

舞台「上を下へのジレッタ」は、カーテンコールがあって初めて完成する作品じゃないか疑惑。

始まり、幕が開いて主役が一人で現れる。このときの横山さんは金を基調に原色を散りばめたコートを羽織っていて、この舞台のテーマ曲ともいうべき「虚構の共犯者」をゆっくりと歌い出す。そして横山さんがコートを脱ぎ、黒いスーツ姿になって曲がアップテンポになると同時に物語が動き出します。

“すべてまやかし すべては虚構

 「上手に騙せ」とあなたは言う

 見事 叶えて差し上げましょう

 望みどおりの 虚構の世界”

この歌詞は、虚構の天才・テレビディレクターの門前が視聴者に向けたものであると同時に、この舞台の観客に向けたものともとれる。門前というキャラクターを紹介しながら、観客へ向けた『今から虚構の世界へ案内しますよ』という宣言でもある。

だから、話自体は虚構の世界を追って破滅する男の物語なんだけど、バッドエンドだとは思わない。「おしまい」の看板が出て、幕が下りて、再び幕が開いてキャストが現れる。死んだはずの小百合チエが、チエと共に去ったはずの山辺音彦が、ジレッタに飲み込まれたはずの門前市郎が笑顔で現れ、破滅したはずの世界がそこにある。そこで観客は『これは舞台なんだ、虚構の世界なんだ』と再確認する。そして"望みどおりの虚構の世界"へ連れ去られていた観客が、虚構の創り手へ向けて拍手を送る。

虚構の"共犯者"とは誰と誰なのかというと、観客と、観客が望む虚構を提供する側を指していると考えられます。虚構と知りつつ「上手に騙せ」とエンターテイメントを求める観客に「見事叶えて差し上げましょう」と「望みどおりの虚構の世界」を差し出す製作者。観客と創り手が共犯になって作り出す愛おしい虚構空間。その完結がカーテンコールでしょう。

カーテンコールで歌われる曲がその名もずばり「上を下のジレッタ」。

"Oh ジレッタ まどろみ 夢みて 目覚めて

 Oh ジレッタ さよなら 道中 お気をつけて"

これって冒頭同様、演者からの観客に向けてのメッセージにとれますよね。

劇中何度も現実と虚構が行き来するけれど、最大のメタフィクションはこのカーテンコールなんじゃないかと思う。

倉持裕氏は天才!

 

④俳優としての横山裕

最後に横山さんについて。

横山さんの俳優としての魅力はその"存在の異質さ"に尽きると思っている。横山さんの演じる役柄はジュニア期から今に至るまでジャニーズの中で見ても一風変わった、ひねくれた役が多く、悪役も多いし、何なら後輩のバーターをよくやっていたのもその異質性ゆえという側面があると思ってるくらい。

だから極彩色の世界の中で、ただ一人だけ初めから終わりまで黒一色の異質さを放つ門前市郎という役柄は本領発揮ともいえるし、存分に発揮されていたと思います。

役者としての技術的な面で言うと、素人目にも芸達者な他のキャスト陣に比べて見劣りする部分はあるなと思いました。でも唯一無二の武器があることも確認できたなあ。そして2幕の、リエに去られてからラストまでの演技がギアを上げたかのように熱を帯びて、すごく惹きつけられたし驚かされました。

この舞台を経たことでまた何が変わるんだろうとワクワクします。(歌も!)

何より、挑戦し続ける横山さんを今後も応援していきたいと思った作品でした。

 

 

なお舞台について倉持さんが語っているインタビューで、web上で情報量が多いのはこちらなのでまだの方はぜひ。

虫ん坊 2017年05月号 特集1:妄想歌謡劇『上を下へのジレッタ』 脚本・演出 倉持裕さんインタビュー :TezukaOsamu.net(JP)

 

*1:『役者がまるで廻り舞台を歩いているように移動する間もずっとしゃべり続け、そして到着してドアを開けると中にいた人間がずっとセリフを聞いていたかのように返事したりして』

数字の話をしよう(テレビはジャニヲタに向けて作られていないという話)

 どうしてジャニーズ系のブログってはてなが多いんだろう。

そもそもはてなブログって他のブログに比べてその特殊機能(脚注やキーワードリンク)のせいか語りが多いような印象を受けるのでそんな印象があるのかしら。

そんなわけなのではてなブログを開設してみました。

 

関ジャニ∞横山裕さんを応援して2年半になります。

いまだにジャニヲタ、eighter、担当、などといった言葉がピンとこないので名乗りません。ただアンケートで誰担当ですかって聞かれたら仕方ないので横山担当だと答えるとは思いますが、え、なに担当って。その言葉みんないつから受け入れてるの?どこまでいったら担当なの?

これは何もジャニーズに限った話ではなく、他のアーティストでファンに特殊な呼び名がある場合やスポーツチームのサポーターなんかでも線引きがよくわからない。こんなんで名乗っていいんですかって気が引けちゃう。だからファンっていい言葉だと思う。ファンなら簡単に名乗れる。(語源的にはファンこそ濃いのかもしれないけど)

話が逸れました。

 

何かに興味を持つと、とにかく情報を集めるのが好きです。目の前の箱に関連ワードを打ち込んで、引っかかるワードがあればそれをまた掘り下げて、とにかくサーチしまくります。また、対象について興味のある人たち≒ファンが対象についてどんなイメージを持っているのか、さらにそれがどう変遷していったのか、過去を遡って探っていくのも好きです。今知れることは何でも知っておきたいタイプ。ストーカー気質?いやそんな危ないものではないと思いたい。

当然、数字やデータもチェックしておきたい。売り上げ、興行収入、視聴率。何も数字だけが結果だとは思わない。だけど結果を見るうえで数字を無視するのはナンセンス。そもそもファンが結果を気にする必要があるのかという意見もあるでしょうが、知れることは何でも知っておきたいタイプなのです。あくまで指標の一つとしてね。

 

数字を見るうえで欠かせないことが二つあります。一つは、その数字の算出方法を知っていること。もう一つは、その数字の相対的な意味が推し量れること。

例えば「視聴率」。視聴率は、ビデオリサーチ社*1が、ある地域の中から抽出したモニター世帯のテレビから測定機器を通して収集する数字で、ニュースなどで視聴率何%という場合は関東地区の視聴率を指しています。1%でおおむね18万世帯、40万人の視聴者に当たるそうです。(http://www.videor.co.jp/rating/wh/13.htm

そう考えるとテレビって衰退しつつあるとはいえやっぱりすごい媒体だ。映画で40万人を動員したら単価1300円で計算して5億の興収。関東だけでこれなので全国で考えると視聴率1%のテレビ番組は大ヒットと言われる映画よりも見ている人の数が多いということになる。もちろんテレビはなんとなく流す、つけっぱなしで見ていないなんてこともあるので映画と同じ熱では測れないものの、たとえ深夜の視聴率1%台2%台の番組であってもテレビに出るというのは大きいってことがわかります。

数字の相対的な意味を推し量ること、というのは要はその数字が良いのか悪いのかって話。これは誰もがある程度無意識に考えてることで、例えば視聴率8%で、これが昼や深夜なら高視聴率と言われるしGP帯*2だと物足りないと言われることもある。時間帯だけじゃなくその前後の番組との比較、同じ枠の過去の数字との比較、これまでの同じような形式の番組との比較、題材によっても期待値が違う。

でもこれってどうとでも設定できるのでアンチの材料にもされがち。あるよね、同じ数字出してるのに「及第点」「健闘」って書かれる場合と「コケ」「期待外れ」って書かれる場合。いや実際製作費とか期待値とかね、それぞれあるんだとは思うよ。思うけどそれにしたって難癖つけすぎだろうとも思う記事も多々あるわけで、そういう記事に振り回されないためにも自分の中でなんとなく位置づけしておくのは意味があると思うんです。

 

視聴率の話、そんな当たり前のことを、という声もありそうですが、でも実際はそこまで知らないでなんとなく数字で騒いでる人いるでしょ?

視聴率が低かったときに「放送地域が少ないから低いんだ」なんて言う人がいます。いるんです、実際に。しかし視聴率とは関東地方の数字なので放送地域が多い番組も少ない番組も条件は同じです。

「今どきみんな録画で見てるから視聴率なんて当てにならない」と言う人もいます。それも他の番組と条件は同じなので、それを言うならその番組が他の番組に比べて録画率が高いという理由が必要になります。実際録画率はドラマ>バラエティみたいだけど。ここはタイムシフト視聴率*3も加味した総合視聴率というのが始まってるので論争にならなくなってくるかもしれません。(https://adv.asahi.com/keyword/11061536.html

 

で、視聴率の話で一つ言いたかったことはテレビは基本ジャニヲタに向けて作ってないよってこと。

ここでまたジャニヲタの定義とは何ぞやって話になるとややこしいので、まあFC入るくらいの熱がある人ということにします。一番FC多い嵐で200万(凄いな!)。複数名義、退会者なんかをどのくらい加味したらいいのか難しいけど、とりあえずその半分の100万と見積もるとします。関東の1%=40万人なんだから、ホラ、全国で嵐のFC入ってるファンが全員見たとしても計算上1%にもならない。

1%のために番組作りはしないよね。GP帯であればなおさら。だから、これはヲタ向けだなって思う演出があるときは、それはもう制作側の愛でしかない。1%に向けてのメッセージ。愛だ。「ジャニヲタで視聴率を釣る」なんてことはあるわけないのです。

実際にはFCは入らないしライブも行かないしCDもDVDも買わないど好きだよーテレビ見るよーって人は多くて、そこが好感度というものであって、嵐は実際それも高いと思うんだけど、テレビの作り手が意識しているのはあくまでそっちですよね。というかそっちじゃないとおかしい。

(潜在視聴率なんてものもあるけどあれは一体何を根拠に算出してるんだろう。潜在視聴率5%も持ってたらバケモノだと思うんだけど。500万人がその人目当てにテレビつけるってこと?ないない。)

 

人気が出るということは売り上げに直結するいわゆるヲタを増やすということと、ポピュラリティー=いわゆるお茶の間人気を獲得することと2種類の意味があって、ヲタクは人気の話になると前者のことを言いがちだけど、普通は後者の意味で使われることのほうが多いと思う。そこの差がヲタクの一般人のギャップになってる。ヲタクの世界では前者の方がわかりやすかったりするから。

そして関ジャニ∞を応援してる身としてはやっぱり先輩グループに比べて後者がだいぶん弱いのかな、と思ってしまうところです。(というか歌番組が大人気だった80年代、CDが売れまくった90年代は前者と後者がかなり近かったと思うんだけど、2000年代以降はずいぶん乖離してるんだろうな。)で、本人たちが最近さかんに言っている「もう一歩上がりたい」というのは後者が欲しいっていうことで、それに対して熱心なヲタの中には「あたしたちはどうでもいいんかい!」って怒ってる人たちが散見される…という状況。昨日メトロック参加が発表されてチケット完売済みだったことでさっそくそういう声がチラホラ。

でも芸能界にいてテレビに出てる以上後者を求めるのは本能といってもいいんじゃないですかね。少なくとも私が人気について考えるときは後者を意識してしまうなあ。

 

本当はそこらへん日経エンタのパワランなどを見てぼんやり考えたことを書こうと思っていたのですが、視聴率の話が思いの外長くなったのでまた後日とします。

*1:かつてはアメリカのニールセンという会社も調査していたが2000年に撤退。なんかいろいろあるらしい…。

*2:ゴールデン・プライム帯。19時-23時。

*3:番組放送日から7日以内にタイムシフトで視聴された割合